2020年12月03日 焼酎の知識

焼酎における蒸留後の工程「油取り」とは?

焼酎は蒸留酒。蒸留されて造られるものです。

 

 

しかし、蒸留すればそれで焼酎が出来上がるというわけではありません。

 

 

実際、焼酎は蒸留後に、少なくとも3ヶ月程度の「熟成」という期間があります。熟成と言っても、酒蔵はこの熟成期間に何もせずじっとしているわけではありません。 大半の酒蔵は蒸留した新酒から浮き出てくる油を取り除く作業、いわゆる「油取り」を行います。 

 

 

では、なぜ新酒から油が浮いてくるのか。なぜ油を取らなければならないのか。など、今回は油取りについて説明します。

 

 

蒸留したての焼酎に油が含まれるのはなぜ?

 

液体を熱し、蒸気になった気体を冷やして再び液体にすることを蒸留と言います。簡単に説明すると、蒸留することで気体に含まれたアルコールを抽出するわけですが、この時アルコールだけでなく様々な原料由来の成分も合わせて抽出されます。油もその一種であり、この油を フーゼル油 と言います。

 

フーゼル油とは
フーゼル油は、蒸留酒を作る際や発酵法により作られたエタノールを分留して精製する際に高沸点の揮発性成分として得られる留分のことである。したがって、フーゼル油は混合物であり、そのどれもがエタノールよりも沸点が高い。なお、フーゼル油は水に溶けにくく比重が水よりも軽いため、蒸留酒を作った際に油滴として分離し酒を濁らせたり表面に浮いてくることもある。wikipedia

 

 

ちょっと分かりづらいかもしれませんが、油取りをしていない焼酎は

 

  • 臭いが強い(油の匂い)
  • 油なので水に溶けず水面に浮く

 

という特徴があります。

 

 

なぜ油取りをする必要がある?

 

実際に油取りをしていない状態の焼酎は油の匂いが強く、弊社の場合ですと 純粋に芋焼酎の芋の香りを損なうから油取りを行っています。 とは言え、フーゼル油はそのまま放置すると酸化し、焼酎自体に匂いがついてしまいますが、それも味を決める上での重要なポイントであり、 フーゼル油を取り過ぎても、コクのない焼酎になってしまいます。 つまり「油取り」の作業はその焼酎の特徴を左右していると言っても過言ではありません。バランスが大事な作業です。

 

 

ちなみによくご年配のお客様から

「今の焼酎は匂いがしない。昔の焼酎はもっと臭かった。それが良かった。」

 

と言われます。

 

 

昔は技術的な問題できっと油取りする量が少なかったのではないか?と推測します。しかし匂いも強いが、コクは今とは比べ物にならないほど美味しかったのかもしれません。

 

 

今大半の酒蔵さんがこの「油取り」の作業をされていますが、昔ながらの焼酎が好きなファンのために、蒸留したての焼酎(油取りを行っていない)をそのまま販売している蔵も存在します。

 

 

「無濾過(むろか)」とは油取りをしない焼酎?

 

基本的に無濾過(むろか)とは、濾過していないという意味なので、厳密にいうと油取りも行っていない状態のことを無濾過(むろか)と言います。

 

 

しかし蒸留したての焼酎はもろみかすや、油などの不純物も含まれているため、 ごみ取りの意味からフィルター越しに「荒濾過(あらろか)」という作業を弊社では行っています。 

 

 

その後、油取りを行い、瓶詰めしたものが「無濾過(むろか)」。油取り後、フィルターで濾過し、瓶詰めした焼酎が弊社の焼酎になります。

 

 

無濾過(むろか)の概念は決まりがなく、酒蔵によっても異なります。無濾過(むろか)を販売している酒蔵さんに聞いてみるのも楽しいのではないでしょうか。

 

 

あくがれ蒸留所の油取り作業について

 

ここからはあくがれ蒸留所の油取りを紹介させていただきます。

 

 

焼酎を仕込む時期は10~11月であり、12月には蒸留したての焼酎が出来上がっているのですが、この12月という時期は油取りがしやすい時期です。冬になって冷え込んでくると気温が下がり、焼酎を貯蔵しているタンク内の温度も比例して下がります。 気温が下がることで焼酎と油が分離し、焼酎の表面に油が浮いて油取りをしやすくなります。 弊社は自然の力でこの作業を行えますが、この作業を行うためにタンクに冷却装置が備わっている酒蔵さんも少なくありません。

 

 

 

タンクの上から焼酎をすくっていきます。ちなみに本日(2020123日)朝8時、外気温は3℃。凍えるほど寒いです。

 

 

 

タンクの高さは2m40㎝、下に置いてある段ボール箱は30cmです。

 

 

 

誤って落ちてしまわないように作業用ベルトを義務付けています。長時間油取りをしているとガスの匂いで気分が悪くなることもあるので重要です。

 

 

 

タンク内部の写真です。表面に油の膜があります。

 

 

 

汲み上げた焼酎です。表面がキラキラして油が付着しているのがわかると思います。

 

 

 

柄杓で少しずつ油をすくって濾過していきます。

 

 

 

目視できる範囲で油の膜は無くなりました。しかし明日の朝にはまた油が発生しているので、毎日これを繰り返していきます。トータルで油取りを行う期間は企業秘密ですが、油取り1回毎にかける時間は1タンクにつき1時間程度です。酒蔵によっても異なると思うので一概には言えませんが、油取りを重ねるたび油は少なくなっていきます。

 

 

まとめ

 

今回は蒸留後の「油取り」について説明させていただきました。

 

 

ポイントは

 

 

  • 蒸留したての焼酎は、油取りをしなければ匂い(油臭)が強いということ
  • 無濾過(むろか)は酒蔵毎に考え方が違うということ
  • 油取りはタンク内の温度が冷たい方が適しているということ

 

 

好みは人それぞれですが、あくがれ蒸留所で扱っている焼酎は芋の匂いを第一優先に考えているため、「油取り」は絶妙なバランスで行っています。焼酎は熟成期間によって香りや口当たりが変わるものです。弊社では「年後の味」を見越して油取りを行い商品作りに活かしています。

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この記事を書いた蔵人
yusuke kuroki
大学卒業後、広告業界に20年。焼酎が好きであくがれ蒸留所に参加。現在はWEB周りの管理やコンテンツ作り、SNSをメインに担当。あくがれ蒸留所の好きな焼酎は「東郷大地の夢」
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