あなたは何焼酎が好きですか?
芋焼酎、麦焼酎、米焼酎、黒糖焼酎、そば焼酎、焼酎は作り方や原料によって、口当たりや風味が変わってきます。
※国税庁ホームページより引用
国税庁のホームページによると、芋焼酎が53.4%、麦焼酎が38.5%、米焼酎が3.9%、黒糖焼酎が1.9%、そば焼酎が1.8%、その他の焼酎0.4%と、芋麦米黒糖そばだけで99%以上の焼酎が造られています。今回は残り0.4%のマイノリティな原料を使った焼酎にフォーカスします。
焼酎造りにおける原料
焼酎を造る上で、必要な穀物や果物は「原料」だけに使われるわけではありません。
麹ともろみを作るために大前提として米が必要であり、それに加え「原料」が必要になります。この原料が風味を作り上げるので、原料は重要なポイントになります。しかし全ての穀物が原料になるわけではありません。原料とするにはある基準が必要です。
原料となる穀物・果物にはデンプンが必須
簡単にいうと、焼酎という蒸留酒はもろみを仕込む上で、麹を使ってデンプンを糖に変化させ、アルコール発酵を行い、それを蒸留したものです。
つまり、アルコール発酵をさせる上でデンプンや糖を含まない穀物・果物で焼酎を造ることはできません。
ちなみに、最初から糖を含んでいる黒糖を原料とした黒糖焼酎は、理論上、麹を使用しなくてもアルコール発酵が行われます。しかし法律上「麹」を使わなければ「焼酎」を名乗ることはできないので、黒糖焼酎蔵は麹を使うと聞いたことがあります。
この話が本当なら、黒糖焼酎蔵は法律が変われば麹を入れないのか?と疑問に思い、あくがれ蒸留所は、黒糖焼酎を作られている「弥生焼酎醸造所」杜氏の川崎洋之さん( @yayoi_shochu )に質問させていただいたところ、丁寧なご返答をいただきました。
川崎さん曰く
- 黒糖焼酎業界でも色々意見はあるが、黒糖焼酎の味を決めているのは米麹だと思う。
- 黒糖焼酎の甘さを出すのは米麹由来の油脂成分である。黒糖自体の成分は糖が85~90%くらいで、残りは水分と灰分(ミネラル)であり油脂成分はほとんどない。
- 鹿児島工業技術センターでも黒糖と米麹の割合を変えた官能実験を行っており、その結果「米麹が多くなるほど甘く、黒糖が多くなるほど辛い評価になる」と発表している ( ▷本格焼酎の個性を追い求める )
結論として「米麹は重要」
とのことでした。勉強になりました。
デンプンを含んでいれば、焼酎の原料として使用することは可能です。最近ではトマトやしいたけ、わさびなどを使った焼酎などもあり、焼酎の可能性は広がっています。弊社あくがれ蒸留所の商品も、ほとんどが芋ですが、(麦・米・粟(あわ)・稗・黍・大豆)という数種の穀物を使用した五穀焼酎「あくがれブルー」という商品もございます。
本格焼酎と名乗るための制限
デンプンがあるものに関しては焼酎の原料として使用することができますが、その全てが「本格焼酎」というわけではありません。国税庁では次のように定められています。
単式蒸留焼酎のうち、次に掲げるアルコール含有物を蒸留したものをいいます。
- イ 穀類又はいも類、これらのこうじ及び水を原料として発酵させたもの
- ロ 穀類のこうじ及び水を原料として発酵させたもの
- ハ 清酒かす及び水を原料として発酵させたもの、清酒かす、米、米こうじ及び水を原料として発酵させたもの又は清酒かす
- ニ 砂糖(酒税法施行令第4条第2項に掲げるものに限る)、米こうじ及び水を原料として発酵させたもの
- ホ 穀類又はいも類、これらのこうじ、水及び国税庁長官の指定する物品を原料として発酵させたもの(その原料中国税庁長官の指定する物品の重量の合計が穀類及びいも類及びこれらのこうじの重量を超えないものに限る。)
国税庁長官の指定する物品
あしたば、あずき、あまちゃづる、アロエ、ウーロン茶、梅の種、えのきたけ、おたねにんじん、かぼちゃ、牛乳、ぎんなん、くず粉、くまざさ、くり、グリーンピース、こならの実、ごま、こんぶ、サフラン、サボテン、しいたけ、しそ、大根、脱脂粉乳、たまねぎ、つのまた、つるつる、とちのきの実、トマト、なつめやしの実、にんじん、ねぎ、のり、ピーマン、ひしの実、ひまわりの種、ふきのとう、べにばな、ホエイパウダー、ほていあおい、またたび、抹茶、まてばしいの実、ゆりね、よもぎ、落花生、緑茶、れんこん、わかめ
簡単に説明すると、本格焼酎を名乗るためには麹の原料に穀類・芋類を使用しなければならない。また、サツマイモや大麦、米などの穀類、芋類のほか上記国税庁長官の指定する物を原料としなければいけない。ということになります。
まとめ
焼酎と聞くと芋・麦・米焼酎を想像すると思います。全体的なシェアこそ芋が占めていますが、芋の中でも最近ではオレンジ芋や紅芋のフルーティな味わいが流行っていたり、様々な原料を使って新商品がたくさん生まれています。焼酎作りはシンプルですが奥が深く、組み合わせのレパートリーが多いです。それが焼酎好きを魅了している原因でもあるんですね。