2020年04月30日 焼酎の知識

焼酎でアルコール消毒はできる?消毒できる焼酎について

焼酎・アルコール消毒

 

新型コロナウイルスの影響で、マスクはもとより、アルコール消毒液も品薄で入手しづらい状況になっています。中にはそんな状態を危惧し、高濃度エタノールを含む「消毒液として使える焼酎」を作り、販売しはじめた酒蔵さんも増えてきました。

 

 

アルコールはウイルスに効果的な面もあれば、人体に害を与える危険な液体にもなりえます。自分の身は自分でしか守れない今だからこそ、アルコール消毒液と焼酎について詳しい知識を持っておきましょう。

 

 

焼酎を使ったアルコール消毒について

 

 

そもそも焼酎を使ってアルコール消毒することが効果的なのか?という大前提ですが、少なからず効果があります。弊社あくがれ蒸留所にも宮崎県酒造組合を通して厚生労働省より通達が届いています。通達から抜粋し記載します。

 

 

高濃度エタノール製品の入手に当たっては、エタノール濃度が原則70~83vol%の範囲内であること(消毒効果が十分に得られるよう、より高濃度のものは精氷水等で同範囲に薄めて使用すること。なお、新型コロナウイルスに対して、60vol%台のエタノールによる消毒でも一定の有効性があると考えられる報告等があることを踏まえ、70vol%以上のエタノールが入手困難な場合には手指消毒用として、60vol%台のエタノールを使用しても差し支えないこと。)。

 

 

とされています。

 

 

要約すると、

 

 

  • アルコール度数70度から83度くらいのエタノールでなければ入手してはいけません。
  • アルコール度数60度台のエタノールでも新型コロナウイルスに効果があるようなので、70度以上のエタノールが入手しづらい場合は手指消毒用として60度台を代用しても構いません。

 

 

ということです。あくまで手指消毒用として使用する上で、消毒用エタノールの代替品として、高濃度エタノールを利用することを許可されています。

 

 

度数の高い焼酎は効果が高い?

 

 

70vol%以上のエタノールが入手困難な場合には手指消毒用として、60vol%台のエタノールを使用しても差し支えない」と書かれているので、アルコール度数がより高いエタノールの方が消毒効果は高いと考えてしまいがちですが、それは大きな間違いです。

 

 

巷ではアルコール度数96度のウォッカ「スピリタス」が売り切れているという話も聞きますが、基本的にスピリタスをはじめ、酒屋さんで売られているお酒は飲むために販売されているものです。それ以外の目的で使用することを推奨はできません。焼酎には原料由来の油成分など、消毒効果には不向きな成分も含まれています。

 

 

また、アルコール消毒する上で適した度数は70度から80度とされています。もちろん度数の高いものは消毒効果があるものの、揮発性が高いため、消毒する前に蒸発してしまう可能性があるからです。厚生労働省のWEBページにも

 

 

コロナウイルスは熱(70度以上で一定時間)及びアルコール(70%以上、市販の手指消毒用アルコールはこれにあたります)に弱いことがわかっています。

 

 

との記載があります。また、アルコール度数96度の液体は可燃性があり、何かの拍子に燃えてしまうこともあるので取り扱いには注意が必要です。もしお手元に消毒用アルコールがない場合、スピリタスのようなお酒を買い求めるよりは、酒造メーカーや酒蔵さんがこの機会に製造した「消毒用アルコールの代替品であるお酒」をご利用される方がいいでしょう。

 

 

品薄だからこそ酒蔵は、消毒用高濃度エタノールを早急に作るべき

 

 

焼酎 消毒02

 

 

様々なメーカーさんや酒蔵さんが高濃度エタノールを発表しています。既存のお酒を蒸留して度数を高めるだけなのにどうして他のメーカーが行動しないんだ!と思われるかもしれませんが、高濃度アルコールを製造・販売するには様々な資格を満たす必要があります。

 

 

原料や製造方法によっても異なるのですが、弊社で把握している限りでも、

 

  • リキュール・スピリッツの製造免許(国税庁)
  • アルコールの取り扱いに関すること(総務省消防庁)
  • 厚生労働省
  • アルコール事業法(経済産業所)

 

の認可などが必要になってきます。

 

 

製造できるからといってすぐ製造できるものでもなければ、製造するための機械を持っているか、いないかも作る上で重要なポイントです。

 

 

もちろん弊社もそうですが、認可がなくて作れない悔しい思いと、こんな時だからこそやれることがないかと思う気持ちは多くの酒蔵さん、酒造メーカーさんがお持ちだと思います。

 

 

清掃目的ならエタノールよりハイター

 

 

あくまで高濃度エタノールは手指消毒用として利用するべきであり、清掃目的なら代替品として「ハイター」を利用しましょう。病院でも使用されているハイターは、家庭では衣類の漂白剤として、まな板などの除菌を目的としてお持ちの家も多いでしょう。基本的に濃度を薄めて利用するハイターですが、手指用の消毒として利用するのは濃度によっては指先の皮膚が溶けてしまうこともありますので、気を付けましょう。

 

 

手洗い・うがいをすること

 

 

新型コロナウイルスに限ってはアルコール消毒の効果があると言われていますが、ノロウイルスなどのアルコール消毒が効果をなさないウイルスも存在します。アルコール消毒ができない場合は石鹸できれいに手を洗うだけでも十分な効果があります。同時にうがいをすることを重要視しましょう。

 

 

まとめ

 

今回は焼酎で可能なアルコール消毒についてまとめてみました。アルコール消毒の代替品としては「スピリタス」よりも、専用に製造された高濃度アルコールをご利用くださいね。

 

あくがれ蒸留所では現在、高濃度エタノールを製造してはいません。製造過程上の資格問題や、スピード感などを重視し、製造しない判断をしました。弊社は日向市でテイクアウト・お持ち帰りできるお店まとめ(随時更新中)や、弊社Facebookにおいて代理広告を行ったり最大限できる限りのサポートができればと考えています。有事の時だからこそ支え合っていきたい。あくがれ蒸留所はできることがあれば今後ともサポートしていきます。

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この記事を書いた蔵人
yusuke kuroki
大学卒業後、広告業界に20年。焼酎が好きであくがれ蒸留所に参加。現在はWEB周りの管理やコンテンツ作り、SNSをメインに担当。あくがれ蒸留所の好きな焼酎は「東郷大地の夢」
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