あくがれ蒸留所では2020年5月18日より焼酎造りをはじめました。
焼酎造りを行いながら、その製造過程をまとめて紹介していきます。
焼酎造りに興味のある皆様、他の酒蔵の皆様、様々な意見があると思います。先頃、ありがたく鑑評会で優等賞を獲らせていただきましたが、まだまだ今以上に美味しい焼酎を作っていきたいからこそ、弊社の製造過程を見ていただき、色々な方にご意見をいただければ幸いです。
「うちの酒蔵ではこうするよ」
「このやり方はおかしいんじゃ?」
「この部分もっと詳しく知りたい」
など、多方面の様々なご意見をいただけるきっかけになればいいなと思います。
あくがれ蒸留所の焼酎製造工程は払出(はらいだし)、製麴(せいきく)、一次仕込(いちじしこみ)、二次仕込(にじしこみ)、蒸留(じょうりゅう)になります。今回は第一の工程である「払出」を紹介いたします。
神事
焼酎の製造工程には直接関係ないのですが、山陰神社(やまげじんじゃ)より宮司さんに来ていただき、新酒仕込み安全祈願を行いました。
神事は今回の焼酎仕込み作業を開始するにあたり、作業を安全に行う祈願と、良質な焼酎造りを祈願するものです。厳かな雰囲気の中、弊社杜氏の山本を筆頭に、社員2名、パートアルバイトさんにも参加していただき、無事祈願を行いました。
蒸留所内の隅々まで安全祈願を行い、清めていただきました。早速作業に入っていきます。
払出(はらいだし)
焼酎造りの作業工程として第一に、払出作業を行います。
そもそも焼酎造りというものは、麹からもろみを造り、もろみに原料を混ぜて(今回でいうと米)発酵させます。そのもろみを蒸留することで造り上げます。今回の払出作業とは、もろみを作る上で必要な麹を、米から作っていく作業(製麴)の下準備作業です。
米入れ(こめいれ)
今回の出荷量予定は一升瓶(1.8ℓ)を1,000本、1800ℓです。逆算し、米を回転ドラム式麹装置に400キロ入れていきます。400キロというと大変だ!と思われるかもしれませんが30キロの米袋が13個+10kg。杜氏と見習い1人の合計2人で行える作業です。
洗米(せんまい)
回転ドラムに水を入れ、時間にして2分30秒ほど回して、お米を洗います。米の表面には汚れがついたものもありますので、その汚れを洗い流す作業を行います。現場には当然、お米を研いだ時の匂いが立ち込めています。
浸漬(しんせき)・水切り
米を炊きあげるために重要な役割です。米に水を吸収させるという目的がありますが、水に浸す時間は米の状態によって異なります。細かいお米なら数分、米粒大のお米なら數十分浸漬させることもあります。また、使う機械や環境によって時間は異なるので、経験がモノを言います。写真はタンク内の米に水を浸している様子です。
十分浸ったら、お米の水分量を赤外線水分計を使って測ります。蒸す前のお米の状態で今回の水分量は30~31%が理想です。水分量によって、麹を混ぜた際の麹の繁殖の仕方が変わってくるので重要な作業です。
水分量が確認できたとところで水分を飛ばして、次の蒸す工程に移ります。
蒸きょう(じょうきょう)
ドラム内に蒸気を送り込みます。この作業を蒸きょうと言い、お米を蒸しあげて米にしていきます。蒸気を密閉するために扉は閉めておきます。写真は蒸きょう後、扉を開けた瞬間になります。
冷却(れいきゃく)
蒸しあがったら、風を送りながらゆっくり冷やしていきます。ここで蒸しあがったお米はもちろん食べることが可能です。麹にする上で「外は固く、中は柔らかい」がベストなお米の弾力と言われています。
ここまでで「払出」作業は終了です。この後、規定の温度まで温度が下がったら、間髪入れずに製麴作業の第一段階、麹菌の「種付け」を開始します。
焼酎造りにおける第一工程「払出」まとめ
焼酎(米焼酎)造りの第一工程「払出」作業を紹介しました。ここまでで半日を費やします。次の工程は「製麴(せいきく)」といい、払出によって作られたお米を麹にする作業になります。
どれ一つとして手を抜く作業はないのですが、払出作業は、良質な麹を作る上で重要なポイントの一つです。