2020年06月09日 焼酎製造工程

【焼酎の作り方⑤】焼酎造りにおける「蒸留」について

焼酎造りの工程も最終局面にさしかかります、二次仕込の工程が終わり、二次もろみを15日間かけてじっくりと発酵させたら、次は「蒸留」の工程です。

 

 

 

 

蒸留(じょうりゅう)

 

 

二次仕込みで発酵させた二次もろみを蒸留タンクに移し、蒸気で熱しアルコールを気化させていきます。今回生成された二次もろみの量は3100ℓ、焼酎として蒸留される量はアルコール度数を36度くらいに設定して1300ℓを見込んでいます。アルコール度数が高ければ蒸留される量は少なく、アルコール度数が低ければ蒸留される量は多くなります。

 

 

どちらがいい ということはありませんが、品質のことを考えると加水して味を調整していく上でアルコール度数が高い方が調整しやすいメリットはあります。

 

 

二次もろみを蒸留タンクに移す

 

蒸留予定の、発酵させていた二次もろみです

 

タンクで保管されています。下から見るとその大きさがわかります。

 

このように、ホースをタンクに接続し、蒸留器にもホースを接続します。

 

 

蒸留を開始する

 

二次もろみを蒸留してアルコール(焼酎)を抽出します、蒸留時間は3時間弱になります。

 

 

蒸留を初めて40~50分経つと、まず最初に「初留」という蒸気温度が一定とならないために生成されるアルコール度数の高い副成分が抽出されます。蒸留酒の製造工程で作られる「初留」は初垂れ(はつだれ、はなたれ)と呼ばれ、特徴として香りが強く、アルコール度数が高いので初留分だけを使って製品化された焼酎も存在します。

 

 

 

弊社の「日向あくがれ初留取り」も初留分だけを用いて生成された焼酎です。

 

沸騰しているもろみを杜氏はじっくり見守っています。

 

 

初留を回収して約100分、度数を30分毎にアルコール度数を計測します。これはアルコール度数が10度になるまで続けられ、10度になると蒸留は終了となります。

 

 

焼酎の原酒を貯蔵タンクに移し替える

 

 

リンターフィルターと呼ばれる濾過器を使い、焼酎の原酒を濾していきます。

 

 

出来上がった焼酎の原酒は薄く濁っており、蒸留の際に発生したガスの匂いが焼酎に付着しています。

 

ここから最低でも3ヶ月はゆっくりと寝かせてガスの匂いを抜き、味を落ち着かせます。落ち着かせた後に加水し、ブレンドし出来たものが皆様の手元に届く「焼酎」となります。

 

 

まとめ

 

 

5回に分けて米焼酎を作る全ての工程(払出、製麴、一次仕込、二次仕込、蒸留)を紹介してきました。我々のような小さな蔵にとって、米から麹を作り、手入れ、仕込み、櫂入れ、蒸留など様々な工程を共にし、仕上がっていく焼酎は、その段階、段階で愛着が湧いていくものです。

 

この記事を読んで、少しでも焼酎について興味を持っていただき、焼酎を好きになってくれる人がいれば嬉しく思います。

 

 

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この記事を書いた蔵人
yusuke kuroki
大学卒業後、広告業界に20年。焼酎が好きであくがれ蒸留所に参加。現在はWEB周りの管理やコンテンツ作り、SNSをメインに担当。あくがれ蒸留所の好きな焼酎は「東郷大地の夢」
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