「焼酎は熟成するほどおいしくなる」?その理由と貯蔵方法について

投稿 : 2020年07月28日 焼酎を科学する

焼酎作りにおいて大事な作業工程とはなんでしょうか

 

 

払出し・製麴・仕込み・蒸留、どれ一つ欠けても焼酎ができない全て大事な工程です。しかし、焼酎を作る上で大事な工程がもう一つあります。

 

 

それは蒸留後の「熟成」です。

 

 

知らない方も多いと思いますが、実は大半の焼酎は造られた後、「熟成」の過程を経ています。

 

 

ではなぜ熟成させるのか、熟成と記載のある焼酎とない焼酎の差はどこにあるのか、今回はそんな焼酎における「熟成」について紹介していきます。

 

 

なぜ焼酎は熟成されているのか

 

 

蒸留して出来た焼酎はそのまま瓶詰されることはありません。どの焼酎も必ずと言っていいほど、最低でも蒸留後1~3ヶ月は必ず熟成します。その理由を紹介します。蒸留後1~3ヶ月の間に何が起こっているのでしょうか?

 

 

熟成理由1:蒸留によって発生した臭いを飛ばす

 

 

蒸留工程を終了したばかりの焼酎には下記の成分が含まれています。

 

  • アルデヒド臭
  • 硫黄化合物
  • カルボニル化合物

 

いわゆる「ガス臭」「ムレ臭」と言われる刺激的な臭いは、こちらの成分が原因です。蒸留したての焼酎は、刺激的な臭いに加え、癖が強く、飲みづらいという印象があります。

 

 

しかし1~3ヶ月の間熟成させることでこれらの成分は揮発し、ガス臭・ムレ臭はどんどん消えていきます。そうなることで初めて焼酎の香りや風味を安定させることができます。

 

 

熟成理由2:原料に含まれる油分を取り除く

 

 

蒸留工程を終了したばかりの焼酎には原料に含まれていた油分も蒸留されています。この油分が空気に触れると酸化し、ガス臭・油臭を発生し、焼酎の品質自体を著しく劣化させる原因にもなります。貯蔵しているタンク内には毎日のように焼酎の表面に油が析出し、それを除去する。その作業を繰り返します。

 

 

また、焼酎を冷却して濾過する装置を導入している蔵もあります。0度近くまでアルコールを冷却することで油を固形化し、濾過することで一気に油を取り除くことが可能です。

 

 

油取りを細かく行うことで、焼酎の品質を損なうことなく熟成を進めることができます。一言で熟成と言えど、ただ放置しておくだけではなく油分を取り除く作業がセットになります。

 

 

長期熟成について

 

 

蒸留後1~3ヶ月の熟成を経て初めて加水して瓶詰される焼酎ですが、ここからさらに熟成を重ねることもよくあります。熟成の期間が長くなればなるほど香りが落ち着き、口当たりまろやかで、深い味わいの焼酎に変化します。「焼酎は熟成するほどおいしくなる」は好みにもよりますがおおむね事実です。新酒が美味しくないわけではありませんからね、、

 

 

熟成の度合いは下記のように表します。

 

 

 

このように、蒸留後1~3ヶ月が経ち、そこからさらに1~3ヶ月(3~6ヶ月)たつと「初期熟成」、6ヶ月~3年未満のものを「中期熟成」、3年以上のものを「長期熟成」と言います。焼酎のラベルに「古酒」と記載するためには3年以上の長期熟成酒がそのお酒の50%を超える割合で作られていることが条件とされています。

 

 

熟成貯蔵方法について

 

 

どこで貯蔵するかによっても焼酎は変わってきます。ここでは熟成に使われているステンレスタンク・甕壺・樽のメリットデメリットを紹介します。

 

 

ステンレスタンク貯蔵

 

何と言っても大容量で熟成可能なメリットがあります。甕壺や樽とは桁外れの容量を熟成することができます。また、焼酎自体にタンクの匂いが移らないという点もメリットと言えます。(意図して匂いをつける場合はデメリットかもしれませんが)空気に触れることもなく安定した環境の中熟成されていきます。しかし熟成の速度が他の貯蔵方法と比べて遅いというデメリットがあります。

 

 

甕壺(かめつぼ)貯蔵

 

甕壺(かめつぼ)貯蔵は昔ながらの熟成方法で、甕壺の表面にある気孔に空気が入り込み熟成を速めます。「甕壺熟成、甕壺仕込みでなければ焼酎ではない」と言われる方も多くいるほど甕壺のファンはいますし、それに応える蔵があるのも事実です。ステンレスタンクと比べ容量が少ないという点や、熟成が進むことで「焼酎本来の香りがなくなるのが嫌だ!」ということはデメリットになるでしょう。

 

 

関連リンク

【甕壷の魅力】甕壷仕込みの焼酎の特徴について

 

 

樽貯蔵

 

樽貯蔵をすることによって焼酎に匂いと色がつくのが大きな特徴です。ウイスキー樽やシェリー樽を使って貯蔵することで焼酎には樽から溶けた色素や香りが移り、個性的な焼酎を作ることができます。この独特な貯蔵方法がメリットとなります。移った色が濃すぎると酒税法の関係上、スピリッツ扱いとなりますが、最近では濾過助剤(濾過して色素を抜く製品)もあり、色味がデメリットとして扱われることは少なくなりました。

 

 

まとめ

 

 

今回は焼酎の熟成について話をさせていただきました。焼酎には賞味期限がない分、商品によっては作られた時期が判別できないものも多くありますが、買って飲んでみて「微妙だな」と思う焼酎も、1年後に飲んだら「美味しい」と思えるものに変化することはよくある話です。家で知らない間に熟成されている焼酎はもしかして飲み頃かもしれませんよ

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