今回は、あくがれ蒸留所の取り組んでいる「アカウミガメの保護」に関する活動を紹介します。
アカウミガメ(卵)の孵化
2020年8月7日、あくがれスタッフ2名は、日向市アカウミガメ研究会に同行してアカウミガメの卵の孵化に立ち会わせていただきました。
19時半に集合という約束で集合場所に行ってみると、テレビ局や、新聞社数社、地元の高校サイエンス部などのグループ総勢2.30名が集まっており、一緒に立会いを見届けることに。
ちなみに産卵巣(卵が産み落とされた穴)からの脱出のタイミングは日が暮れてから深夜になることが多く、ほとんどの子ガメは日が暮れた時間から夜が明けるまでの時間帯に海へと帰っていきます。 産卵して50日~70日で孵化することが多く、産卵巣の上部にくぼみができると、その日から孵化・脱出・帰海が始まると言われています。 この日に集まったのも孵化が始まる兆候が見えたからなんです。
灯りひとつない松林を日向市アカウミガメ研究会の事務局長である黒木さんを先頭に、懐中電灯で足元を照らしながら進んでいくのですが、真っ暗な中を前の人にしっかり続いていかないと、砂浜への出口を間違ってしまいそうでした。
なんとか砂浜にたどり着くことができました。
時刻は20時過ぎ、注意深く産卵巣に近づき様子を確認すると、すでに何匹かは穴の外に出ており、次の子ガメが出てくるのを待ちます。
そしてついにその瞬間が訪れます。
子ガメの脱出の瞬間です。この10センチ程度の小さい子ガメが、これから海まで歩き出す、その一歩です。距離はおよそ80メートルですが、子ガメにしてみればかなりの距離です。
子ガメは海へと歩みを進めていきます。 本来灯りを当てるとその光源を海だと錯覚し迷走することもあるため、懐中電灯を当てることは禁止されています が、海側から照らすことで、子ガメを海へ誘導しながら観察することができました。
今回脱出・帰海を確認できた子ガメは8匹と少ない数ではありましたが、貴重な経験をすることができました。また、ひたむきに海に向かう小さな子ガメの姿には心を打たれました。
日向市アカウミガメ研究会の活動について
後日、日向市アカウミガメ研究会の事務局長である黒木豊さんに話を聞かせていただきました。
ここで簡単に黒木さんについて紹介します。
アカウミガメの孵化について今1番の悩みがこの「獣害」であり、孵化しなかった卵は立ち会いのあった翌朝タヌキに食い散らかされていたとのこと。そうした卵が多かったせいもあり卵巣の周囲は悲惨な状態だったという。まだ孵化していない産卵巣を守るべく、現在日向市アカウミガメ研究会は竹で柵を作ったり、網をかけたりしてタヌキから産卵巣を守っている。また、市役所に相談して農林水産課がタヌキの罠を仕掛けてくれることにもなった。
日向市アカウミガメ研究会としては2003年から調査に参加し、現在まで毎年アカウミガメの産卵・孵化を見守ってきた。
引用元:日向市アカウミガメ研究会調べ
この傾向は日向市に限らず全国データと比べてみても結果はほぼ一致しており、アカウミガメの上陸産卵回数の減少は全国的な問題としてあると考えられている。
アカウミガメは一度に70個から150個ほどの卵を産みます。そのうち9割近くが巣立っていく時もあれば、9割近くが砂の中で死んでしまう場合もあります。また、海にたどり着くまでに今回のようにタヌキ、鳥の標的になってしまったり、うまく海に帰ってもそのほとんどが外敵(大きな魚等)に襲われ、 生存確率は1/10,000とも言われています。
さらに台風や温暖化、地震など地球に生きる者たちの環境は毎日変化があります。昨日と同じ環境は2度とないことを考えるとアカウミガメにとっても生きづらい世の中になっているのかもしれません。
親ガメの産卵・子ガメの孵化脱出に立ち会えるか?
上陸が「この日」と分かっていれば、待ち構えていることも可能ですが、いつ上陸するかわからない上に、年々上陸回数が減っているアカウミガメに出くわすのはたやすいことではないでしょう。さらに 産卵期のアカウミガメはとても敏感になっており、人の気配や明かりを感じると、海に戻ってしまうこともあります。
弊社も取材ということで立ち会わせていただいた今回ですが、本来なら生まれたばかりの子ガメが自力で海に帰っていき、それを見守ることがこの日向市アカウミガメ研究会の目的だと言っても過言ではないでしょう。 子ガメが大量に脱出する場合は、砂浜に大勢の人がいると、踏み潰してしまう恐れもありますし、人が多く懐中電灯もたくさんあると、子ガメも迷って海へたどり着けないケースもあります。 そういった理由もあり、申し訳ないが見学目的の人を断っている、と黒木さんは言います。
日向市アカウミガメ研究会はボランティアを募集しています
アカウミガメの保護活動に参加したい。という気持ちがある方、ぜひご参加下さい。研究会はその活動時間帯の早さもあり、お仕事をされている方には少し無理を強いるなボランティア活動だと思います。しかし例えば「週末だけ」であったり、「隔週○曜日だけ」の参加でも、もちろんOKです。
まとめ
弊社は焼酎を作っている会社ですが、弊社の商品である「あくがれブルー」や「日向あくがれHONU14°」のラベルにはカメのイラストが描かれています。海に生かされている宮崎県日向市に蔵を持つ弊社としてはアカウミガメを助けることで、日向の自然環境を守ることに繋がると信じています。
みんなで生きていく。みんなで守っていくために、あくがれ蒸留所も多少なりともお力になれればと考えています。