2020年09月03日 イベント

アカウミガメの孵化と、日向市アカウミガメ研究会について

 

今回は、あくがれ蒸留所の取り組んでいる「アカウミガメの保護」に関する活動を紹介します。

 

 

アカウミガメ(卵)の孵化

 

 

202087日、あくがれスタッフ2名は、日向市アカウミガメ研究会に同行してアカウミガメの卵の孵化に立ち会わせていただきました。

アカウミガメの孵化と日向市アカウミガメ研究会について

 

19時半に集合という約束で集合場所に行ってみると、テレビ局や、新聞社数社、地元の高校サイエンス部などのグループ総勢2.30名が集まっており、一緒に立会いを見届けることに。

 

ちなみに産卵巣(卵が産み落とされた穴)からの脱出のタイミングは日が暮れてから深夜になることが多く、ほとんどの子ガメは日が暮れた時間から夜が明けるまでの時間帯に海へと帰っていきます。 産卵して50日~70日で孵化することが多く、産卵巣の上部にくぼみができると、その日から孵化・脱出・帰海が始まると言われています。 この日に集まったのも孵化が始まる兆候が見えたからなんです。

 

灯りひとつない松林を日向市アカウミガメ研究会の事務局長である黒木さんを先頭に、懐中電灯で足元を照らしながら進んでいくのですが、真っ暗な中を前の人にしっかり続いていかないと、砂浜への出口を間違ってしまいそうでした。

 

なんとか砂浜にたどり着くことができました。

アカウミガメの孵化と日向市アカウミガメ研究会について

 

時刻は20時過ぎ、注意深く産卵巣に近づき様子を確認すると、すでに何匹かは穴の外に出ており、次の子ガメが出てくるのを待ちます。

 

 

 

 

そしてついにその瞬間が訪れます。

アカウミガメの孵化と日向市アカウミガメ研究会について

 

子ガメの脱出の瞬間です。この10センチ程度の小さい子ガメが、これから海まで歩き出す、その一歩です。距離はおよそ80メートルですが、子ガメにしてみればかなりの距離です。

アカウミガメの孵化と日向市アカウミガメ研究会について

アカウミガメの孵化と日向市アカウミガメ研究会について

 

子ガメは海へと歩みを進めていきます。 本来灯りを当てるとその光源を海だと錯覚し迷走することもあるため、懐中電灯を当てることは禁止されています が、海側から照らすことで、子ガメを海へ誘導しながら観察することができました。

 

今回脱出・帰海を確認できた子ガメは8匹と少ない数ではありましたが、貴重な経験をすることができました。また、ひたむきに海に向かう小さな子ガメの姿には心を打たれました。

 

 

日向市アカウミガメ研究会の活動について

 

 

日向市アカウミガメ研究会とは
日向市アカウミガメ研究会は、2003年大野裕氏(2020年に他界されました)により結成された。大野氏は県立高校の教論を退職した1995年に「日向市ふるさとの自然を守る会」を設立、その研究部門として「日向市アカウミガメ研究会」の前身となるアカウミガメを保護する会を発足した。現在は会員9名が所属しており、毎年5月のGW明けから10月の末くらいまで、毎朝5時からそれぞれの会員が日向市の海岸(美々津・金ヶ浜・お倉ヶ浜・鵜戸の瀬・伊勢ヶ濱)に出向き、アカウミガメの上陸跡を確認したり、産卵巣を見つけ標柱を立てています。また、砂浜に上陸したアカウミガメ、孵化して海へ帰っていく子ガメのために、常に砂浜をきれいにしておく必要があるため、砂浜のゴミを拾い集めるのもアカウミガメ研究会の活動内容の1つである。

 

後日、日向市アカウミガメ研究会の事務局長である黒木豊さんに話を聞かせていただきました。

 

あくがれ蒸留所
あくがれ蒸留所
先日は貴重な体験をさせていただきありがとうございました。
黒木豊氏
黒木豊氏
いえいえ、子ガメの脱出が少なくて申し訳なかったです!

 

ここで簡単に黒木さんについて紹介します。

黒木豊さん。生まれは日向市美々津。前職は市役所の職員であり、日向市内で耳川筏下り(みみがわいかだくだり)や、日向映画祭などの実行委員として活動してきました。定年退職後の現在も日向市アカウミガメ研究会の事務局長を始め、色々な団体の会員として活動を行なっている。始めは軽い気持ちでアカウミガメ研究会に参加したが、その忙しさに時折大丈夫かな?という気持ちもあったそう。しかしアカウミガメの産卵や子ガメの巣立ちを見て、使命感と途中じゃ放り出せないという責任感が生まれ、体がついて行く限りは海岸見回りは毎朝のルーティンとして欠かせない。

 

黒木豊氏
黒木豊氏
今タヌキが多くて困ってるんですよ。

 

アカウミガメの孵化について今1番の悩みがこの「獣害」であり、孵化しなかった卵は立ち会いのあった翌朝タヌキに食い散らかされていたとのこと。そうした卵が多かったせいもあり卵巣の周囲は悲惨な状態だったという。まだ孵化していない産卵巣を守るべく、現在日向市アカウミガメ研究会は竹で柵を作ったり、網をかけたりしてタヌキから産卵巣を守っている。また、市役所に相談して農林水産課がタヌキの罠を仕掛けてくれることにもなった。

 

黒木豊氏
黒木豊氏
アカウミガメの上陸・産卵回数は2012年をピークに年々減ってきているんです。

 

日向市アカウミガメ研究会としては2003年から調査に参加し、現在まで毎年アカウミガメの産卵・孵化を見守ってきた。

アカウミガメの孵化と日向市アカウミガメ研究会について

引用元:日向市アカウミガメ研究会調べ

この傾向は日向市に限らず全国データと比べてみても結果はほぼ一致しており、アカウミガメの上陸産卵回数の減少は全国的な問題としてあると考えられている。

 

あくがれ蒸留所
あくがれ蒸留所
それは環境の変化が関係しているのでしょうか?

黒木豊氏
黒木豊氏
はっきりとは言えませんが、自然環境(上陸産卵する砂浜、成長・回遊する海)の変化は大きな影響を与えているでしょう。

 

アカウミガメは一度に70個から150個ほどの卵を産みます。そのうち9割近くが巣立っていく時もあれば、9割近くが砂の中で死んでしまう場合もあります。また、海にたどり着くまでに今回のようにタヌキ、鳥の標的になってしまったり、うまく海に帰ってもそのほとんどが外敵(大きな魚等)に襲われ、 生存確率は1/10,000とも言われています。 

 

さらに台風や温暖化、地震など地球に生きる者たちの環境は毎日変化があります。昨日と同じ環境は2度とないことを考えるとアカウミガメにとっても生きづらい世の中になっているのかもしれません。

 

 

親ガメの産卵・子ガメの孵化脱出に立ち会えるか?

 

 

あくがれ蒸留所
あくがれ蒸留所
親ガメの産卵に立ち会うことはできますか?

 

黒木豊氏
黒木豊氏
親ガメの産卵に立ち会うのはとても難しいんです。親ガメの産卵は夜、砂浜に上がってきて産卵することがほとんどで、なかなかそのタイミングに合わせることは難しいんですよ。

 

上陸が「この日」と分かっていれば、待ち構えていることも可能ですが、いつ上陸するかわからない上に、年々上陸回数が減っているアカウミガメに出くわすのはたやすいことではないでしょう。さらに 産卵期のアカウミガメはとても敏感になっており、人の気配や明かりを感じると、海に戻ってしまうこともあります。 

 

あくがれ蒸留所
あくがれ蒸留所
では子ガメの孵化・脱出に立ち会うことはできますか?

 

黒木豊氏
黒木豊氏
出来ますが、子ガメを刺激しないためにも、大勢で立ち会うようなことは本来避けるべきだと思っているんです。

 

弊社も取材ということで立ち会わせていただいた今回ですが、本来なら生まれたばかりの子ガメが自力で海に帰っていき、それを見守ることがこの日向市アカウミガメ研究会の目的だと言っても過言ではないでしょう。 子ガメが大量に脱出する場合は、砂浜に大勢の人がいると、踏み潰してしまう恐れもありますし、人が多く懐中電灯もたくさんあると、子ガメも迷って海へたどり着けないケースもあります。 そういった理由もあり、申し訳ないが見学目的の人を断っている、と黒木さんは言います。

 

 

日向市アカウミガメ研究会はボランティアを募集しています

 

 

アカウミガメの保護活動に参加したい。という気持ちがある方、ぜひご参加下さい。研究会はその活動時間帯の早さもあり、お仕事をされている方には少し無理を強いるなボランティア活動だと思います。しかし例えば「週末だけ」であったり、「隔週曜日だけ」の参加でも、もちろんOKです。

 

 

まとめ

 

 

弊社は焼酎を作っている会社ですが、弊社の商品である「あくがれブルー」や「日向あくがれHONU14°」のラベルにはカメのイラストが描かれています。海に生かされている宮崎県日向市に蔵を持つ弊社としてはアカウミガメを助けることで、日向の自然環境を守ることに繋がると信じています。

みんなで生きていく。みんなで守っていくために、あくがれ蒸留所も多少なりともお力になれればと考えています。

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この記事を書いた蔵人
yusuke kuroki
大学卒業後、広告業界に20年。焼酎が好きであくがれ蒸留所に参加。現在はWEB周りの管理やコンテンツ作り、SNSをメインに担当。あくがれ蒸留所の好きな焼酎は「東郷大地の夢」
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