あくがれ蒸留所は2020年10月6日に「杉玉」を作りました。
日本酒を中心とした酒蔵や焼酎蔵、酒屋さん、多くはありませんが飲食店の軒先で見られる杉玉。そんな杉玉の存在はご存知でも、そもそもどんな目的で作られ、どんな風に作られるのかを知っている方は少ないのではないでしょうか。
今回は杉玉って何?と言われる方のために簡単に杉玉を説明します。また、合わせて杉玉の作り方を紹介します。
杉玉の由来
が有力な説のようです。また、昔は球状ではなく、束ねて吊るすタイプのものや、球状のものを真ん中で縛ったもの、竿の先に吊るしたものなど様々な形があり、今のように杉玉(すぎだま)と呼ばれてはおらず、酒林(さかばやし)と呼ばれていました。
杉玉の役割について
杉玉は、本来神が宿った杉の葉を吊るし神に感謝を捧げる意味合いがあったのですが、江戸時代の初期より売酒屋の目印として用いられたり、酒蔵においても新酒ができた際も軒下に吊るして、新酒の存在を宣伝するために用いられてきました。しかし、この吊るす意味についても諸説あり 「吊るすのは杉の葉がお酒の腐敗を直すため」 という説もあります。
新酒の季節、夏酒の季節、ひやおろしの季節、と日本酒造りの時期に沿って杉玉の色は風化し色味が変わってきます。そうなんです。 杉玉はそもそも日本酒にゆかりの深い文化 です。祝いの席などでよく見る樽酒の樽は杉で作られているものがほとんどですし、昔の貯蔵タンクは杉材で作られた木桶が使われていました。
しかし近年では、焼酎蔵も10月や11月の仕込み時期に吊るし、風化とともに焼酎の熟成を楽しむ酒蔵さんも増えてきました。弊社もその酒蔵の一つであり、なによりも杉玉を吊るすことでお酒の神様に感謝を捧げるという気持ちは同じです。
杉玉の作り方
ここからは弊社で作成した「杉玉」の作り方を紹介します。
もちろん弊社の作り方が正しいというわけではありません、他にも作り方はありますので、それぞれの環境や、合う方法でお作りください。あくまで参考程度にしてくださいね。
- 杉の葉(杉の木1本分)
- 針金(太いもの 細いもの)
- ビニールテープ
- 金網ネット
- 麻紐
- 剪定ばさみ
- ラジオペンチ
1.同じ長さで切りとった針金(太)を3つ用意する
松の枝を突き刺していく中心の球を作ります。針金(太)は球の骨組みになるものです。杉の葉をカットする長さにもよりますが、出来上がるサイズは針金(太)で輪っかを作た直径の2~3倍の大きさになります。また、
2.針金(太)で円を作りビニールテープで固定する
円と言ってもしっかりと正円を作る必要はありません。ある程度の形で作って固定しておけば次の段階で調整は効きます。固定するためにビニールテープを使っていますが、針金を曲げて固定しても大丈夫です、ただしある程度の硬さがないと枠としての役目を果たさないので、針金は太くて硬いものをお勧めします。
3.作った3つの輪っかを組み合わせ、球体を作る
先ほど作った3つの輪っかを下の写真のように組み合わせて球状の外枠を作ります。ゆるい箇所がある場合、円の形が多少崩れても構わないので、手を離しても外れない程度には固定しておきましょう。
4.針金(細)を使って3つの輪っかを固定していく
針金(細)で、球状の枠の輪っかが重なる箇所を固定していきます。ラジオペンチできつく固定しましょう。
6箇所をしっかり固定します。
5.金網ネットを適当な長さに切って球状の針金を包み込んで固定する
金網ネット自体が硬く固定されるので、球体の枠に巻き込ませるくらいの固定で大丈夫です。
6.麻紐で吊るしてカットした杉の枝を詰める
下から順番にどんどん隙間なく詰めていきましょう。隙間があっても後で修正はできますが、隙間が見えなくなるくらいの量を詰めていきます。
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7.全体をカットしていく
少し戸惑うかもしれませんが思い切って切ってしまって大丈夫です。というのも切りすぎた場合、杉の葉を足せばいいだけなので取り返しはつきます。下記動画で確認していただければわかると思いますが、今回はダンボールで簡易的な円状のスケールを作り、そのスケールを当てながらカットを繰り返していきます。下記写真の杉玉は完成まで50%程度のところです。
Facebook・Instagramで杉玉制作の動画を配信中
FacebookやInstagramで杉玉を制作した動画をアップロードしています。ご参考にどうぞ。
意外にも手軽に作ることができました
杉玉の制作というと、 購入すると高いもので5~6万円するものもあるので敷居が高いイメージ があったのですが、作ってみるとそこまで難しいものではありません。杉の葉さえ入手できれば作り上げるのはそこまで難しいものではありません。購入を検討されている方、お時間に余裕があるのであれば自分で作ってみるものも愛着も湧くのでおすすめです。