【重金属と農業】焼酎を科学する芋作りとは

投稿 : 2020年05月13日 焼酎を科学する

弊社の芋作りに進展がありました!

 

前回記事 焼酎を芋作りから行うプロジェクト始まりました!

 

重金属 農業01

 

あくがれ蒸留所では安全な芋作りを行うために、様々な情報を取り入れ、調査しており、その中でも重金属の調査に関しては特に気にして調査をしてきました。

 

弊社あくがれ蒸留所がそう考える理由を書いた著書「それでも、世界一うまい米を作る」(著者:奥野修司)に、中国の上海、長江の川沿いの街を訪れた著者が書いた一節があります。

 

 

 畑にはチンゲンサイと思わしき緑黄色野菜をはじめ、さまざまな野菜が植えられて縞模様になっている。畦のところどころに咲き誇っている黄色い花は菜の花に似ていた。遥か遠くには、松のような小さな針葉樹の森があった。その中に農家が五、六軒、軒を連ねている。おそらくは防風林として植えられたのだろう。

 いかにも中国風の建物をのぞけば、そこは二、三〇年前の日本の農村風景と見まがうばかりの光景であった。

 むっと草いきれが立ち上がるなか、幅一メートルにも満たない小川が流れているのを発見した。川縁には小さな花をつけた雑草が頭を垂れてゆれている。思わず「春の小川」でも歌ってみたくなる気分だった。

 

 私はその小川をそっとのぞいてみた。

 

 その瞬間、思わず体がのけぞりそうになった。流れているのは果たして水だろうか。得体の知れないその液体は、真っ黒でコールタールのように気味悪かった。もちろん魚などどこにもいない。死の小川である。

 

長江河口の土壌調査値

検査項目検査数値日本の土壌汚染対策法の基準値
カドミウム0.0420.005
水銀0.1220.01
ヒ素14.9540.01
35.240.01
クロム101.250.05

単位はmg/L(ppm)

引用元:それでも、世界一うまい米を作る

 

 

実際問題、中国では生活用水の九割以上、工業排水の三分の一以上が未処理で重金属を河川に流しているという報告もあります。

 

 

では日本はどうなのかというと、重金属と日本の歴史は古く、カドミウム原因のイタイイタイ病やメチル水銀の廃液が原因となった水俣病、日本の公害は重金属抜きには語れません。だからこそ上の表を見ると、日本の土壌汚染対策がいかにしっかりとした基準を設けていて、重金属と向き合っていることが数値を見れば明らかだと思いますよね。しかし驚くのは、著者がこの「死の川」を案内した中国人農家との会話を聞いてからでした。

 

 

農家「お金持ちや知識人は基本的に沿海州の物は食べません。怖いですから。上海には各地から農作物が集まるし、外国の農作物もたくさん入ってきます。そういうものを選ぶんです」

私たちは畔を歩きながら、畑を見回した。

著者「農民が食べるにしても量が多すぎます。じゃ、この野菜類はどこへいくんですか?」

農家「たぶん別の省都か、加工食品に混ぜられるんでしょうね」

著者「日本にも輸出するということ?」

農家「たぶん」

著者「でも重金属を含んでたら、輸入禁止になるんじゃないですか?」

農家「えっ、ご存知ないんですか。日本は残留農薬は検査しますが、重金属についてはめったに検査しないから大丈夫なんです」

著者「ぜんぜん大丈夫なんかじゃないんだけど」

引用元:それでも、世界一うまい米を作る

 

 

この事実は重金属の問題をまだ日本が軽視している証拠かもしれません。日本では「残留農薬」が問題視されていますが、農薬そのものが体内に入ったところで微量なら人間の代謝活動で排出されていきます。農薬より重金属を調べる必要があると弊社が考えたのは、責任を持って自分たちで、ものづくりをするからでもあります。

 

 

あくがれ蒸留所の畑における重金属の調査結果

 

 

もちろん自社で作るからには、肥料は堆肥のみを使い、これまで出来なかった無農薬の芋を作る予定です。しかし弊社は「どんなに農薬を省けたとしても地盤が重金属で侵されていては意味がない」と思い、公益財団法人宮崎県環境科学協会に重金属類土壌分析検査を申し出ました。

 

 

検査に時間はかかったものの結果は下記の通り。この結果から安心して畑作りを進めることができたのです。

 

検査項目検査数値日本の土壌汚染対策法の基準値
カドミウム0.005未満0.005
水銀0.01未満0.01
ヒ素0.005未満0.01
0.005未満0.01
クロム0.0005未満0.05

単位はmg/L(ppm)

 

 

自然由来の重金属について

 

 

近くで畑を汚染する原因もないのに調査したのか?と思われるかも知れませんが、生活用水や工場排水の他にも重金属が見つかる場所は実はいたるところにあります。カドミウム、六価クロム、水銀、セレン、鉛、ヒ素、フッ素、ホウ素の8種類は自然由来重金属と呼ばれる土壌汚染対策法の特定有害物質に該当し、含まれる土地が少なからず存在します。

 

 

焼酎の芋作りに合わせて感じだこと

 

 

体内に取り入れるものだからこそ、安全な素材を作ること。大半の企業も同じだと思いますが、弊社あくがれ蒸留所もこれを大前提で芋作りを行なっています。

 

 

だからこそ手を抜くことなく、必要と思う検査は納得がいくまで行います。不安のある素材由来の飲み物なんて飲んで美味しくなければ、お客様に売ることもできません。美味しさは安心の上に成り立つものです。

 

 

安全な素材がなければ、美味しい焼酎は作れません。そう考えるなら、その素材を作る地盤を気にすることは当然のことなんです。「地域の農業の中に蔵がある」という弊社のスローガンは、あくまで地域の畑作りなくして芋作りはできないという意味でもあります。

 

 

今回参考文献の一つとしてあげさせていただいた「それでも、世界一うまい米を作る」という本は食の民間安保を行うグループを追ったドキュメンタリーでもあります。

 

 「食の民間安保」とは、たんに農作物を作ればいいのだけではない。国の食料安保のように業者に丸投げせず、生産者と消費者を以下につなげるか、主観的な「安心」と客観的な「安全」をどうやって認証するか、彼らはそんなことを試行錯誤していた。

引用元:それでも、世界一うまい米を作る

 

 

ものづくりの本質はこの部分にあると、あくがれ蒸留所も共感して芋作りを行なっています。そのためには土壌分析をはじめ、思いつく可能な限り分析は怠りません。規模は小さくとも、日本一うまい焼酎を作るために

よく読まれている記事

page-top