弊社あくがれ蒸留所が焼酎を製造する上で、「目的とした焼酎に出来上がったか」を判断する上で大切なポイントの一つとして「焼酎の香り」があります。
[su_highlight background=”#f4a31d”]焼酎の香りは、その焼酎の個性を左右する[/su_highlight]といっても過言ではありません。
現在「芋焼酎」と言ってもその香りは千差万別、次々と新しい香りの新商品が発売されています。
ではその香りは、どんな原料で、どんな物質が元となり、どんな香りが醸し出されているのでしょうか、本日は「焼酎の香り」について説明していきます。
焼酎の香りについて
焼酎の香りは原料由来の香りもありますが、酵母由来や、蒸留する過程など様々な要因で生成されます。
[su_note note_color=”#f5b312″]原料由来の香り[/su_note]
ゲラニオール
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[su_tab title=” 香り “]
バラ、ライムやオレンジ、レモンなどの柑橘系、青葉、草などに例えられる。
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[su_tab title=” 化学式 “]
C10H18O
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[su_tab title=” 詳細 “]
主にローズオイルに含まれるため、バラの芳香を持ち、香水などにも使われている。防蚊剤の効果がある。原料サツマイモの配糖体から、麹菌のβーグルコシターゼにより生成される。
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ネロール
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[su_tab title=” 香り “]
柑橘系の香りに加え、花や果実のような香りに例えられる。
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[su_tab title=” 化学式 “]
C10H18O
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[su_tab title=” 詳細 “]
レモングラスやホップから採れる精油などに含まれる。ゲラニオール同様、荒涼として使われることが多い。原料であるサツマイモの配糖体から、麹菌のβーグルコシターゼにより生成される。
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シトロネロール
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[su_tab title=” 香り “]
柑橘系、果実、バラ、ラベンダーの香りに例えられる。
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[su_tab title=” 化学式 “]
C10H20O
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[su_tab title=” 詳細 “]
ローズ油、シトロネラ油に含まれる。ボディケア、ハンドケア、香水、メイクアップ化粧品、スキンケア商品にも配合されている。ゲラニオール、またはネロールから生成される。
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リナロール
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[su_tab title=” 香り “]
柑橘系、果実、バラ、ラベンダー、ベルガモットの香りに例えられる。
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[su_tab title=” 化学式 “]
C10H18O
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[su_tab title=” 詳細 “]
多くの植物の精油成分として存在しており、香料として利用されている。ゲラニオール、またはネロールから生成される。
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αーテルピネオール
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[su_tab title=” 香り “]
線香や炭、土、ライラックなどに例えられる。
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[su_tab title=” 化学式 “]
C10H18O
[/su_tab]
[su_tab title=” 詳細 “]
月桂樹やローズマリー、ウコン精油、ナツメグにも含まれている。ゲラニオール、またはネロールから生成される。
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※上記5種類の物質は、モノテルペンアルコールと呼ばれ、芋焼酎の香りを特徴付ける要素になります。簡単に説明すると、[su_highlight background=”#f4a31d”]サツマイモに含まれているゲラニオール、ネロールなどの配糖体に、酵母が作用することでシトロネロールが生成され、蒸留することでリナロール、αーテルピネオールが生成されます。[/su_highlight]
βーダマセノン
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[su_tab title=” 香り “]
バラやコーヒー、ラズベリー、濃度によってはリンゴのシロップ煮、トロピカルフルーツにも例えられる。
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[su_tab title=” 化学式 “]
C10H18O
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[su_tab title=” 詳細 “]
ワインに含まれていることでも知られているケトンの一種。その大部分が蒸留工程(後半部分)に生成される。
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ローズオキサイド
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[su_tab title=” 香り “]
バラに例えられる。
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[su_tab title=” 化学式 “]
C10H18O
[/su_tab]
[su_tab title=” 詳細 “]
ピラン系、モノテルペン系香料。化粧品や石鹸に使用される。シトロネロールから発酵過程で酸触媒により生成され、蒸留工程で生成が促進される。
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ジアセチル
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[su_tab title=” 香り “]
バターやチーズの匂い、低濃度では蒸れ臭を発する特徴的な香りに例えられる。
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[su_tab title=” 化学式 “]
C4H6O2
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[su_tab title=” 詳細 “]
紫芋原料由来の成分であり、3,40代男性の脂臭の原因成分として知られる。蒸留時に強く香っているが、熟成期間中ジアセチル臭は減少する。
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βーイオノン
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[su_tab title=” 香り “]
かぼちゃ、スミレ、カロテンの含まれるニンジンに例えられる。
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[su_tab title=” 化学式 “]
C13H20O
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[su_tab title=” 詳細 “]
様々な植物の精油に含まれ、ニンジンなどに含まれるカロテンからも生成されます。
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[su_note note_color=”#f5b312″]麹由来の香り[/su_note]
1オクテン3オール
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[su_tab title=” 香り “]
キノコの香りに例えられる。
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[su_tab title=” 化学式 “]
C8H16O
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[su_tab title=” 詳細 “]
マツタケ・シイタケ・ツクリタケなど多くのキノコに存在する不飽和アルコール成分である。麹由来の香りであり、蒸留工程の前半に留出され、特に黒麹を使用した場合に多い。
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[su_note note_color=”#f5b312″]酵母由来の香り[/su_note]
酢酸イソアミル
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[su_tab title=” 香り “]
バナナ・メロンのような果実臭に例えられます。
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[su_tab title=” 化学式 “]
C7H14O2
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[su_tab title=” 詳細 “]
カルボン酸エステルの一種。バナナエッセンス(香料)としても用いられています。酵母発酵中に生成されます。
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カプロン酸エチル
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[su_tab title=” 香り “]
リンゴ・メロンのような果実臭に例えられます。
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[su_tab title=” 化学式 “]
C8H16O2
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[su_tab title=” 詳細 “]
酢酸イソアミル同様、フルーティな香りの元となる成分です。酵母発酵中に生成されます。
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酢酸エチル
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[su_tab title=” 香り “]
パイナップル・バナナのような果実臭のほかセメダイン臭などに例えられます。
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[su_tab title=” 化学式 “]
C4H8O2
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[su_tab title=” 詳細 “]
シンナーやラッカーなど塗料の溶剤として用いられる。パイナップル、バナナなどの果実油にも多く含まれています。酵母発酵中に生成されます。
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nープロピルアルコール
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[su_tab title=” 香り “]
フーゼル油(油臭)に例えられます。
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[su_tab title=” 化学式 “]
C₃H₈O
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[su_tab title=” 詳細 “]
日本、欧米など多くの国の食品添加物や香料として使用されている。酵母発酵中に生成されます。
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イソブチルアルコール
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[su_tab title=” 香り “]
フーゼル油(油臭)・カビ臭に例えられます。
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[su_tab title=” 化学式 “]
C4H10O
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[su_tab title=” 詳細 “]
イソブチルアルコールはアルコールとして分類される。揮発性の可燃性液体えあるので、十分な換気施設内で貯蔵・使用されるものである。酵母発酵中に生成されます。
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イソアミルアルコール
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[su_tab title=” 香り “]
フーゼル油(油臭)・カビ臭に例えられます。
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[su_tab title=” 化学式 “]
C5H12O
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[su_tab title=” 詳細 “]
3メチル1ブタノールとも呼ばれ、香料として用いられる酢酸イソアミルや安息香酸イソアミル、狭心症薬に用いられる亜硝酸イソアミルの原料になる。
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βーフェネチルアルコール
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[su_tab title=” 香り “]
バラに例えられる。
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[su_tab title=” 化学式 “]
C8H10O
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[su_tab title=” 詳細 “]
芳香族アルコールの一種。天然に広く存在する無職の液体であり、バラやカーネンションなど様々な花の精油に含まれる。
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アセトアルデヒド
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[su_tab title=” 香り “]
木、草、青りんごに例えられます。木香に似ていることから木香臭と呼ばれています。
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[su_tab title=” 化学式 “]
C2H4O
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[su_tab title=” 詳細 “]
悪酔いの原因で有名なアセトアルデヒドですが、自動車の排気、タバコの煙、合板の接着剤に由来する大気汚染物質である。酵母発酵中、蒸留工程、エタノールの酸化など様々な場面で生成される。
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DMTS(ジメチルトリスルフィド)
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[su_tab title=” 香り “]
玉ねぎや漬物に例えられます。
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[su_tab title=” 化学式 “]
C2H6S3
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[su_tab title=” 詳細 “]
天然ではホップ、キャベツ、ブロッコリーなどに存在する。含硫アミノ酸の代謝に関連して派生する物質などから生じると考えられる。(甕仕込みに多い)
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[su_note note_color=”#f5b312″]蒸留由来の香り[/su_note]
フラン-2-メタンチオール
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[su_tab title=” 香り “]
コーヒー、チョコレートに例えられます。
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[su_tab title=” 化学式 “]
C5H6OS
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[su_tab title=” 詳細 “]
有機硫黄化合物の一つ。加熱工程において生成される。焙煎した原料から移行することもある(麦焼酎など)
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2-エチル-3,5-ジエチルピラジン
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[su_tab title=” 香り “]
香ばしい匂いに例えられます。
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[su_tab title=” 化学式 “]
C8H12N2
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[su_tab title=” 詳細 “]
加熱工程において生成される。焙煎した原料から移行することもある(麦焼酎、黒糖焼酎など)
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フラフラール
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[su_tab title=” 香り “]
アーモンド、煙に例えられます。
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[su_tab title=” 化学式 “]
C5H4O2
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[su_tab title=” 詳細 “]
合成ゴムを作る原料として使われている。蒸留工程で糖類から生成される。後留に多い。
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4VG(4-ビニルグアイヤコール)
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[su_tab title=” 香り “]
薬品臭、香辛料臭クローブ、燻製臭に例えられます。
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[su_tab title=” 化学式 “]
C9H10O2
[/su_tab]
[su_tab title=” 詳細 “]
蒸留工程、または特別な酵母により4VGが生成される。清酒からは生成されない。
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[su_note note_color=”#f5b312″]貯蔵由来の香り[/su_note]
バニリン
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[su_tab title=” 香り “]
バニラに例えられます。
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[su_tab title=” 化学式 “]
C8H8O3
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[su_tab title=” 詳細 “]
天然のバニラの精油の中にも存在するが、泡盛・奄美黒糖焼酎などは原料米中の成分が熟成して古酒になる過程で、バニリンに変化し、独特の香気を持つようになる。
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[su_note note_color=”#f5b312″]微生物汚染由来の香り[/su_note]
酢酸
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[su_tab title=” 香り “]
体臭・汗の匂いに例えられます。
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[su_tab title=” 化学式 “]
CH₃COOH
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[su_tab title=” 詳細 “]
刺激臭、酸味がある無色の液体。酢(す)の酸味の主成分。食用、薬品の原料にも用いられる。酵母が発酵中に生成されるほか、乳酸菌などによる汚染により生成されることもある。
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[su_note note_color=”#f5b312″]移り香由来の香り[/su_note]
TCA(トリクロロアニソール)
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[su_tab title=” 香り “]
強いカビ臭に例えられます。
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[su_tab title=” 化学式 “]
C7H5Cl3O
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[su_tab title=” 詳細 “]
様々な農薬や木材の防かび剤として使用されており、殺虫剤、殺菌剤、防カビ剤として広く使用されてきたが、1975年米国における製造は中止されている。
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まとめ
焼酎を製造する上で生成される「香り」(焼酎だけに入っている成分というわけでもありません。)。もちろんここに記載した香り成分が全てではありませんし、細かく書いてしまうと専門的になりすぎて、どこまで書いても取り止めがないと思ったので、できるだけ簡略化させていただきました。
「この匂いはこの成分が入っているから」という事が分かると、焼酎に関する愛着も湧きますし、焼酎が美味しくなってきますね。